「双生児」 江戸川 乱歩


強盗殺人によって死刑宣告された男。しかし男は過去にも別の殺人を犯していたことを告白する。

双子の兄を殺して入れ替わるというのは「パノラマ島奇談」を彷彿とさせるが、こちらの作品はもっとあっさりしている。兄となって富と妻を手に入れた「私」は、指紋の違いから入れ替わりがバレてしまうのではないかと恐れる。そして反対に兄の指紋を利用して、弟の方に犯罪の罪を着せることを思いつく。兄の日記についていた指紋を利用して型を作り、犯行現場にわざとそれを残していくのだ。

強盗殺人の現場に兄の指紋を残したつもりでいる「私」。しかしそれは兄の指紋ではなく、自分の指紋がネガティブに反転したものを「兄の指紋」と思い込んでいただけであった。

「恐ろしき錯誤」がオチとなっている。乱歩作品の犯人はウッカリしている事が多いが、大それた悪事を行おうとする者というのは、肝心の点を見落としてしまう傾向があるのかもしれない。

「双生児――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――」
http://www.aozora.gr.jp/cards/001779/card57187.html

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