「痴人の愛」 谷崎 潤一郎


私はこれから、あまり世間に類例がないだろうと思われる私達夫婦の関係に就いて、出来るだけ正直に、ざっくばらんに、有りのままの事実を書いて見ようと思います。

谷崎潤一郎の代表作「痴人の愛」。なんとなく内容は知っていたものの、実際読んでみるとやはり引き込まれる。

映画化や漫画化も多数あるが、谷崎の文面から立ち上るナオミの香気にはどんな画も及ばないだろう。

ナオミの妖婦ぶりはもちろん、河合譲治の一人称による語りかけるような文体も魅力。

解説にあった「三島由紀夫の評言」というのがあまりに印象的だったので以下に引用する。

三島由紀夫の評言をかりれば、谷崎にとって日本の敗戦とは、「日本の男が白人の男に敗れたと認識してガッカリしているときに、この人一人は、日本の男が、巨大な乳房と巨大な尻を持った白人の女に敗れた、という喜ばしい官能的構図」として敗戦を眺めていたということなのである。

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