「ポーの片影」 芥川 龍之介


芥川龍之介の作品はこれまでにもいくつか読んでいるのだが、ずいぶん印象が違うので驚いた。このような文章も書くのか、と意外にも思ったし、わたしが勝手に抱いていたとっつきにくさが一気になくなったようにも思う。

エドガー・アラン・ポーについての文章なのだが、「アラン」は余計だとか、名文家ではなかったとか、なかなか面白いことが書いてある。ポーが作家というよりむしろ批評家であるというのは(比喩ではなく、実際に批評家としての地位があった)、ポーの作品の中に多分にそういうものが入っているのでとても納得できる。

ポーについての分析やエピソードも面白いのだが、わたしにとっては芥川龍之介のユーモアが見られる、というところが非常に面白く興味深い作品である。

――この男は、事毎にポーに反噛はんがうし、毒ついた男で、唯それだけで芸術史上に名を残された男です。(名を後世に残さんとする者は、後世に生命あるであらう芸術家に何でもかまはず喧嘩を売ることです………)

――ポーは斯く死後迄不幸な人だつたのです、
(中略)
然しながら、今日ポーの偉大さを疑ふものはありません。偉大なる人は遂に後代をまつより仕方がないものかと思はれます。

「ポーの片影」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card4614.html